海外医療搬送コラム 海外医療搬送の具体的なケース

患者の入院されている病院、または患者の状態によって安静度や必要な医療品・機材が異なるため、搬送方法の選択は慎重にやらなくてはなりません。そのため、前回のコラムでお伝えしたとおり、正確な患者の状態把握には現地の医師・病院との連携は必要不可欠です。

しかし、海外での出来事ですから医療搬送といえども航空機や医療器材等多額な費用がかさむことは事実です。そのため、なおさら患者の搬送予算に関しても考慮しなければなりません。

チャーター機では多数の医療器材を積むことができ、任意の場所から最短で飛行できる点や、プライバシーも保護されるという利点があります。しかし、民間航空機に比べると小型になり飛行航続距離が短く、そのため燃料給油(フューエルストップ)により複数回の寄港が発生し、その度に離発着の手続きが必要になり、結果的に各駅停車のように到着時間が大幅にかかってしまいます。例えば、米国西海岸から本邦まで民間航空機では約10時間で到着しますが、チャーター機では20時間程を要します。

また金額についても、搬送費用が2000万円を上回る場合があるなど、民間航空機の数倍の費用がかかり、もちろん適応症例に応じてチャーター機移送が必要な場合もありますが、経済面ではあまり効率的とは言えないでしょう。ですから、患者の状態・搬送の予算費用など考慮した上で、患者の身体的・経済的両面の負担を最小限にとどめるような搬送手段を決めなければなりません。

中南米からの搬送(加入保険限度額1500万円の例)

患者は中南米で重篤な高山病を患い意識不明のまま入院。家族としては、一日も早い帰国を望まれていたが、中南米は一般に海外旅行保険のアシスタントが弱い地域であり、特に当該ケースでは患者が入院した施設がある場所は、標高が約4000mと富士山よりも高い地域であった。そのため、救援者である医療チーム自らも高山病に罹ってしまうリスクもあり、容易に駆けつけることができなかった。

中南米には日本からの直行便がなく、医療搬送はチャーター機の使用が一般的であるため搬送費用が非常に高い。事実この患者の場合、加入保険の限度額が1500万円に対し、他社搬送費用は2800万の提示があった。結果として自己負担額が1300万円にも及んでしまうことに困り果て、当センターに相談があった。

家族より当センターに搬送の要望があった時点で、当センターから現地のドクターにコンタクトを取ったが、スペイン語が公用語であるため英語が話せず、医療情報を取得することもままならない状況であった。そのため、当センターと提携している現地医療搬送スタッフの協力を得て、スペイン語・英語を用いた情報伝達・共有が可能になったことにより、業務はスムーズに行われた。 特にこの患者は急性期であったため、病状が日々変化していたので、最新の情報からどのような搬送が最も患者に適しているかを迅速に選定する必要があった。また同時に搬送中の病状の悪化のリスクも考慮しつつ、随時家族に説明を行い、搬送準備を進めていった。

この患者の場合、最終的にドクター同士の協議により、仮に容態が悪化したとしても機内で対応可能と判断され、民間航空機による搬送に決定。現地より南米の国を2カ国経由し、無事に日本の受け入れ先病院までの搬送を終えることができた。全ての航空搬送経路を民間航空機で実施したことにより、搬送費用は約1000万円となり、保険金額にも大きく寄与することができました。






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