海外医療搬送コラム 搬送前準備 患者様の情報収集について

前回は医療搬送費用についてご説明しましたが、今回から複数回にかけて搬送準備についてご説明していきたいと思います。

国際搬送を行う為には事前準備が重要であり、患者様の情報収集から始まり、搬送手段の決定、受け入れ先病院の選定、フライト、救急車、列車の予約等々様々な課題をクリアしていく必要が有ります。

最初に当センターにお問い合わせ頂く時、大半が日本にいる患者様のご家族からのご相談であり、現地での情報が錯綜しているケースが多くみられます。患者様の入院経過・病状など正しい情報を得るために、当センターから現地の病院に連絡をしていきます。しかしながら、海外からの情報収集は日本では考えられないさまざまな困難に直面することが多いです。原因は、次に挙げられるケースが考えられます。

  • 言葉の壁

ほとんどの場合、英語でのコミュニケーションが主流ではありますが、しかしながら、英語が通じない、または片言しか通じないこともあります。現地スタッフを活用する、又は、聞き間違いがないようになるべく文面での情報伝達をするなどの注意も必要となってきます。また、英語圏でも国によって異なるアクセントやイントネーションへの対応も不可欠です。

  • 医療システムの違い

医療システムの違いによって、情報収集が困難になる場合があります。アメリカの場合を例に取ると、脳梗塞の患者様では脳神経外科の専門医たちがチームとして患者様を診ていたり、また、脳神経外科の先生だけではなく、眼科の専門医、呼吸器の専門医、循環器の専門医らともチームとして行っている為、搬送に関して相談できる主治医が特定しづらく、なかなか情報が取りづらいなどがあります。
また、国によって単位の違いがあり、例えば、日本では検査データの単位がmg/dlが一般的なのですが、umolなど違う単位を使っている国も沢山あります。
このような違いを把握した上で、柔軟に対応していかなければなりません。

  • 時差による最新情報収集の難しさ

例えばニューヨークは日本と昼夜が反対になるほど時差があり、リアルタイムで情報を得る難しさがあります。
過去に、日本にいる家族も現地との時差がある為に古い情報しか持っておらず、当センターから現地の病院に確認したところ、既に転院していた等のケースもありました。
そのため、24時間体制で現地情報を収集する必要があります。

  • 日本人との仕事に関する考え方の違い

私たちの経験では、主治医や看護師・ソーシャルワーカーなど患者様に関わる方々の医療情報や仕事に対する考え方や捉え方が、国によって様々です。
日本では正確な医療情報・サービスを提供できるよう責任の所在や伝達・報告の徹底さに細心の注意をはらうよう努力しているイメージを受けますが、一部の方では仕事に対する意識の違いからか、そういった面が軽視されがちな印象をうけます。そのため、国によっては医療情報・伝達の正確さの精度にばらつきがあるのも事実です。事前の打ち合わせで、救急車の手配や、薬剤の提供を確認していたにもかかわらず、直前になって何の準備もなされていないなど幾度となく経験しました。そのため、搬送前のカンファレンス、出発日当日でも確認作業を何度も行う対策を講じなければなりません。

上記のような難題をクリアし、現地に到着する前に正確な患者様の医療情報を把握することで航空機内にストレッチャーを組むのか、もしくは車椅子で機内まで搬送できるのか、特別な昇降機を用いる必要があるのか、目的地到着後に救急車の手配が必要なのか等々、医療搬送の形態を選定していきます。膨大な情報を正確に整理することで、どのような搬送形態が患者様にとって負担が少なく安全であるのか、またはどの程度搬送費用に関わってくるかなどの判断材料となります。そのため、搬送前の正確な情報収集がとても重要であり、細心の注意を払うところです。

現地医師とのカンファレンス

現地医師と医療搬送内容についてのカンファレンスの様子






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